【海外】《フランスニュース》インターネット上で公開された「アンネの日記」、著作権存続期間を巡り論争

世界的なベストセラー「アンネの日記」の初版本と同じオランダ語版が、パブリックドメインになったとして、1月1日にフランスの研究者と野党議員とがインターネット上に公開しました。

「アンネの日記」は、ユダヤ系ドイツ人の少女Annelies Marie Frank(アンネリース・マリー・フランク)による日記形式の文学作品で、第二次世界大戦最中のドイツによる占領下のオランダ、アムステルダムを舞台として記載されたものです。内容は、ドイツによるユダヤ人狩りを避けるために、咳も出せないほど音に敏感な状況下で隠れ家に潜んだアンネ・フランク及びその家族8人のユダヤ人達の生活を活写したもので、1942年6月12日から密告(密告者はいまだ不明)によりドイツの秘密警察に捕まる1944年8月1日まで執筆されています。その後、この隠れ家のアンネの家族は全員、秘密警察に発見されて強制収容所に送られ、アンネは劣悪な環境の中で発疹チフスに罹患し、1945年3月頃に死亡したとされています。アンネの日記は、アンネの死後、アンネの家族の中で唯一生き延びたアンネの父であるOtto Heinrich Frank(オットー・ハインリッヒ・フランク)よって出版されました。その後、アンネの日記は、各国語への翻訳が行われ、これまでに3000万部以上販売されています。

欧州連合(EU)の規定では、書籍の著作権の保護期間は、著者の死後70年です。
アンネの日記をインターネット上で公開した研究者らは、「アンネがベルゲン・ベルゼン強制収容所で死亡した1945年から既に70年が経過しており、規制なく共有することが著者への最大の追悼である。」として公開しましたが、これに対し「アンネの日記」の著作権を保有するアンネ・フランク財団が強く反発しています。

1963年にオットーによって設立されたアンネ・フランク財団は、「オットーは、アンネの原稿を整理して日記を出版し、世界に広めており、アンネとは別に作品の著作権を取得している。オットーが亡くなったのは1980年であるため、2016年1月1日に著作権は失効しない。」と主張し、著作権は存続しているため法的措置を行うとの姿勢を見せています。

一方、研究者らは、1945年に自殺したナチス独裁者ヒトラーの著書「わが闘争」も1日に著作権が消滅したことを引き合いに出し、公開の正当性を訴えています。