【国内】意匠審査基準が改訂

特許庁の意匠課、意匠審査基準室は、意匠制度の利便性向上を図るため意匠審査基準の改定を行ったと発表しました。
改訂されたのは、意匠審査基準の第1部第2章「意匠登録出願に係る意匠の認定」、第2部第1章「工業上利用することができる意匠」、及び第3部「新規性の喪失の例外」の項です。
改訂の概要は以下の通りです。

  1. 「意匠登録出願に係る意匠の認定」
    図面等に参考図として表された図については、一組の図面及びその他必要な図に表されたものと異なる形状、模様又は色彩が表されている場合には、出願の意匠の形態に係る認定において、それら異なる要素そのものは考慮しない。
  2. 「工業上利用することができる意匠」
    形状を特定するための線、点等の説明の取扱いについて、形状を特定するための線、点その他のものを記載した場合であって、願書の「意匠の説明」の欄にその旨及びいずれの記載によりその形状が特定されているのかを記載した場合(意匠法施行規則様式第6備考7)、並びに、意匠に係る物品の性質や各部の用途及び機能に照らし、当該説明の記載がなくても形状を特定するための線、点等であることが明らかな場合であれば、説明の記載の省略が認められる。
    眼鏡や乗用自動車等のガラス面への線模様等については、物品の性質上、レンズ中央やガラス面等に線模様等を表すことは一般的ではないため、説明の記載の省略が認められる。

    コンピュータ・グラフィックスにより作成した図において、外形形状を明確にするために、背景に単一色による彩色を施した場合であって、願書の「意匠の説明」の欄に、その彩色が、背景の彩色である旨の説明を記載した場合及び当該説明の記載がなくても背景の彩色であることが明らかな場合については、説明の記載の省略が認められる。

  3. 「新規性の喪失の例外」
    従来、新規性喪失の例外規定の適用を受けるための証明書については、意匠の公開事実について客観性を担保するために、出願人(本人)以外の者が、証明者として記名・捺印する必要があったが、自己による証明のみでも認めることに変更した。

    今まで意匠審査便覧に記載されていた内容の多くを審査基準に明記した。

    これらの改訂は、2016年12月から2017年2月の間、産業構造審議会 知的財産分科会 意匠制度小委員会 意匠審査基準ワーキンググループにおいて内容が検討され、その後、2017年2月から2017年3月の間に行われた意見募集を踏まえて必要な修正を行われたものです。
    なお、この改訂意匠審査基準は、4月1日以降に審査されている意匠登録出願に適用されています。