【国内】伊藤園のトマトジュースの製造技術、カゴメの訴えを認める

 6月8日、トマトジュースの製造技術をめぐり、食品メーカー「カゴメ」が飲料メーカー「伊藤園」の特許権の取り消しを求めて知財高裁に提訴していた訴訟で、知財高裁はカゴメの請求を認めるとの判決を下しました。

 この訴訟は、伊藤園が保有する特許権「容器詰トマト含有飲料及びその製造方法」(特許第5221785号)を対象としたものです。要約書によると、この特許発明は「トマト含有飲料の各種アミノ酸量を所定の数値範囲内に調整することにより、トマト本来の自然のコク味や舌触りを維持・向上させながらも、喉越しや後味が大幅に改善され、旨味や食感も改善がなされた容器詰トマト含有飲料を提供する」とのことで、明細書中には「本発明者らは、特願2011-94186において、トマト含有飲料における糖度及び糖酸比を従来のトマト含有飲料から逸脱した特定範囲に調整することにより、主原料となるトマト以外の野菜や果汁等を極力配合しなくても濃厚な味わいでフルーツトマトのような甘味があり且つトマトの酸味が抑制された新規なトマト含有飲料及びその製造方法、並びにトマト含有飲料の酸味抑制方法が得られるという知見に到達した。」、「本発明は、濃厚な味わいでフルーツトマトのような甘みがあり且つトマトの酸味が抑制された、飲料形態としておいしく飲める容器詰トマト含有飲料を提供することを目的とする。」等と記載されています。
 これに対しカゴメは、「『濃厚な味わい』などの具体的な定義が不明で、裏付けるデータも少ない」と主張していました。

 知財高裁は、「記載内容が不十分で、同業者は『濃厚な味わい』などの技術的な意味を理解できない」との理由から、この特許権を取り消す判決を下しました。
 カゴメは、現在はこの技術を使った製品は販売していませんが「業界全体の発展のため提訴した。今回の判決は妥当なものだ。」とコメントし、伊藤園は「今後、対応を検討していく。」とコメントしています。